お昼寝タイムズ@ゲーム

ゲーム感想。RPG、SRPG、ADV、アクション、乙女ゲー、ボブゲが好きです。辛口め注意。

夏空のモノローグ 篠原ルートクリア

篠原

※このプレイ日記はネタバレの塊です

一言だけ言わせてもらうと、まじ神シナリオ

彼だけのためにでも買う価値のあるゲーム。

泣いた、号泣した。涙とまらなかった。

とりあえずやったことない人はわたしのネタバレ感想なんか読まずにポチっと購入してやってくださいまじで。

共通ルートでは口から飛び出すのは皮肉ばかり、ツンツンしまくりな彼で、まぁ要するにもともと好みやったわけなんですけど、真実が明かされていくところからはやばかった……。

なんだかうまが合わないというか、なかなか仲良くなれない主人公と篠原くんは、科学部のすすめで人を仲良くなろうと一緒に行動するようになる。

でも、仲良くなっていく過程で……いやそれより前から、何度か「ん?」と首を捻ることが多々あった。

はじまりは、一緒に合宿の映像を見ていたときの他人事のような様子。

ずっと読んでいる同じ本。繰り返される会話。

薄々感づいてはいたものの、明かされた真実は、篠原くんは実は「記憶障害」で、思い出を保っていられないのだということ。

あと2・3年で、何もかもを「覚えて」いられなくなり、篠原くんからは「明日がなくなる」ということ。

彼の皮肉たっぷりで人と距離を置いているような態度は、秘密を気づかれないためと、大切になってからなくしてしまう辛さを味わいたくないためと、相手を傷つけないためだったんですね。

共通ルートから「ループが終わってほしくない」って言っていたのも、ループの中だと、症状が進まないと思っていたから。

あ……やばい、もう書いてるだけで涙腺緩んできた……

篠原くんの秘密は、案外早い段階で明かされる。でも、そこから一気に重い雰囲気になるわけじゃなくて。

秘密を知った主人公は、自分に何が出来るだろう? って考えた挙句、「忘れられない思い出を作ろう!」と思うわけですね。

なんと、こっからがまたコメディパートなんだな。

科学部謹製のデートマニュアル(カガハル状態にうけたw)を手に、空回りまくりながら必死にデートをする主人公と、それを見抜いてからかう篠原くんがすごく可愛くてニヤニヤ。

たくさん思い出を作り、海辺でぽろっと想いを通じ合わせてしまうシーンにはきゅんきゅんしました。

そんななか、やっぱりやって来たループの終わり。

篠原くんのためにループを止めてくれと部長に言いに行った主人公は、そこで逆に部長に諭されてしまうわけです。

真実と向き合う主人公。

ループでも記憶障害の悪化は止まっていない。ループ中の記憶はもうほとんど残っていない。

あの告白の記憶も……

自分は覚えているのに相手に忘れられてしまう辛さをようやく実感した主人公は、いったんはさまざまな思いに揺れ動くものの、木野瀬くんの後押しで、もう一度篠原くんと向き合う決意をします。(しかし部長といい、木野瀬くんといい、後押し組もいい仕事し過ぎてるよ……。)

このときに読んだ篠原くんのメモの内容にまた、涙、涙……。科学部入部からの出来事が、備忘録として克明に記されているんです。

ほんとに、ほんとに篠原くんは科学部が好きなんだなぁって感じて涙がとまらなかった。

このときになって、ちょうど今週にLRCで見たバレーイベントのことが思い返されました。

運動音痴な主人公と篠原くんが協力して運動神経のいいカガハルくんたちを破ったときの、「この思い出は忘れたくない」という言葉。

ひとつひとつのイベントでの篠原くんの裏側を思うと、それだけで泣ける。

距離をおかなきゃいけない。

大切になりすぎてはいけない。

でも、ひとりはいやだ。

篠原くんは、いったんは「科学部をやめよう」とまで思っていたんです。

でも、出来なかった。

いつかは孤独にならなきゃいけないとしても、今を捨てて孤独を選ぶことは出来ない……。

「どうか、どうか、どうか、どうか神様、どうかお願いですから」

メモの最後に残されていた悲痛な叫びに、もう画面が見えないくらい泣きました……。

そして思い出の海岸で、篠原くんに決意を伝える主人公。

それでも、篠原くんはいったんは拒絶してしまう。

「好きな人を! 不幸になんてできるわけないじゃないですか!」

という、ようやく見せてくれた篠原君の本音の叫びにも泣けたけど、そのあとの、主人公の言葉がかっこよすぎて。

「篠原くんが忘れても、私が全部覚えるよ」

「篠原くんが今日にとどまるなら、そのたびに私が、明日に連れて行く」

見えない明日よりも、「いま」を力強く生きようとする主人公の決意……。

わたしは基本的にハッピーエンド至上主義者なんです。

この先の未来を思うとものすごく切ない。ご都合主義でも何でもいいから、病気なんか治ってくれって何回も思った。

でも、この物語の終わりは美しすぎて、どうしようもなかったよ……。

恋愛ゲームというより、ひとつの美しい物語を堪能したって感じです。

もう、ほんとやってよかった。

このゲーム、全ルート、別々にアニメ化してほしいと思える……。