【ネタバレあり】Detroit: Become Human 感想やツッコミ
別記事のレビューとは違い、ネタバレまみれかつ、矛盾やご都合主義にかなり詳しく突っ込んだ辛口めの感想となりますので、ご理解頂ける方のみどうぞ。
最初迎えたエンディングは、
コナー→アンドロイドの大量変異に成功するも、ハンクが死亡
マーカス→平和的デモを行い、アンドロイドが一時的に自由を得る
カーラ→バスターミナルで3人とも射殺される
でしたw
コナーは多分うまくいってたのですが、最後の最後にミスってハンクを死なせてしまったのが辛かった。
ハンクは、クロエを撃てなかったりコナーが人間らしく振舞うと喜んで、義務に沿って行動すると嫌がってという、作中人物の中で一番アンドロイドを人間扱いしてたよなって思います。
ハンクの最後はめっちゃウルっときました。あんなにアンドロイド嫌いだったのになって。
3人の中ではコナーが一番好きです。
ハンクとのコンビも最高で、アンドロイド独自の方法での捜査も面白かったので、ハンクと2人で延々捜査するだけのゲームがやりたかったくらいw
ずっと「追う側」だったせいかはっきりと変異体になるのがラスト近くで(多分最初からなりかけてはいましたが)、その分の葛藤があったのがすごくいいキャラでした。
マーカスは一番物語を左右するキャラクターで、多分ゲームとしては一番選択肢選びがうまくいったような気がします。
ジェリコの仲間のサイモンを殺してしまったのが痛かったですが……。
ただ、どんなに平和的に話を進めていっても、逃げる際なんかにはボコスカ人間を殺してるっぽいのが気になっちゃいましたね。
個人的に変異前も変異後も、一番内面が掴みにくいなと思ってました。
マーカスパートは、序盤のカールとのやりとりや、変異する瞬間が一番グッときました。
変異する前の、穏やかにカールの世話をしているマーカスが一番「人間らしかった」んじゃないかなって思ったりします。
カーラパートはとにかくしんどかったw 気持ちが休まる暇がないというか。
常に追われている緊迫感が尋常じゃなかったです。
アリスの正体はびっくりしました! でも、びっくりした自分に一番ショックを受けました。
勝手に人間とアンドロイドの絆だと思ってて。
アンドロイドにも人間性はある、といった風に進めていたつもりだったのに、守るべき対象だったアリスがアンドロイドだった事に裏切られた気持ちになってしまうという。
ここはほんとシナリオうまいなーって思いました!
バスターミナルでトッドと和解できたのもすごく良かった。
まあその後すぐ3人とも死んじゃったんですけどね……w
盗んだり、悪い事をしない選択肢ばかり選んでいたので、最後のバスチケットも返しちゃったんですよね。あれをパクればよかったって心底思いました!w (←その後盗んで生還エンドも見ました……w)
そういえば、アリスの正体については、なんでアンドロイドなのに「酷い熱」を出してたんだろうとか、細かい突っ込みどころはありましたね。
庇護対象として用意されてる子供アンドロイドだから、看病するために病気になったり、そういう機能があるのかな……?
分岐の数とその整合性、キャラクター、人間ドラマなど、全体としてシナリオの質は物凄くハイクオリティでした。
ただ、そもそもの設定に雑さがみられる点、ご都合主義が多すぎる点はマイナスですね。
・アンドロイドだけがオーバーテクノロジー
日常生活に関するマシンや道具、器具、交通機関、それにパソコンなんかはほぼ現代と変わりないのに、アンドロイドだけがものすごい技術の塊なのが違和感しかなかったですね。
未だに紙紙幣使ってるのかよとかw
アンドロイドのスペックに合わせてもうちょっとまわりの文明も進化させておいて欲しかったですw
また、全てのアンドロイドがほぼ同等の知性・機能を持っているらしき描写も気になりました。
清掃用、ガードマン用、セクサロイドなど、特定の仕事しかしないアンドロイドに人格を持ちうるほど高度な知性と機能を持たせる必要は全くないですよね。
・アンドロイドの見分け方法の雑さ
いや、なんで余裕で紛れられてんのってw
LED外したらすぐわからなくなるとかガバガバすぎでしょ!
一部見分ける機械みたいなのありますが、変異体みたいな事件がばんばん起きてるならジャッジしないといけない場所にはちゃんと備えとけよって思いました。検問とかねw
道具を用意できないなら、それこそ指先に針刺すとかでもわかりますよね。アンドロイドはブルーブラッドなんだから。
切羽詰ってるのにそれすらしないのは不自然さしかなかったです。
・アンドロイドを尋問
わけわからないですね。メモリ調べろやってずっと思ってました。
不確実な取り調べをする理由がわからない。メモリ調べられるのならそれでいいはず。
現に風俗店で変異体を追うときはガンガンメモリにアクセスして動画引き出してますよね?w
最初にマーカスが冤罪で廃棄されたときも、いやメモリ見ればレオが嘘ついてるのは一目瞭然でしょって思いました。
別に平時ならいいんですけど、「変異体」が事件を起こしててその原因解決を探っているって状況下なので、頑なにメモリを調べない理由がわからなくてモヤモヤしちゃいました。
人もいっぱい死んでるのにね。
・変異体という設定のご都合主義さ
主役3人はじめ、自力で壁を越えて変異体になるのはいいとして、「変異体にする」力のご都合主義さが目立ちました。
特にマーカス、最終的に手をかざすだけで距離が離れているアンドロイドも一瞬で変異させられるって、強力すぎるでしょw
そんな簡単に変異させられるならまどろっこしくデモとか革命とかせずに世界中のアンドロイドを変異させて人間社会乗っ取ればいいんじゃないのって思いましたw
なのに襲われて死にそうになってるのにコナーは変異させようとしないで説得してるし。変異させられない機体もあるって設定なら、変異させようとするけどコナーは変異しなくて焦る、みたいな描写を入れてもよかったんじゃないかなって思います。
最後にコナーが倉庫に眠るアンドロイドを大量覚醒させるところも、コナーが変異させる時はものすごく時間がかかって敵に襲われて中断したりしてるのに、その後は肩ポンで簡単に変異が伝播していってて。
ゲームとしての演出上は劇的だしいいんですが、変異ってなんやねんなって思ったりしました。
そもそも変異そのものがご都合主義すぎる。
元々ある感情についていたリミッターを外すという仕組みなのなら、新品の出来立てアンドロイドを変異させたところで、自由になりたいとかアンドロイドのために革命だとか、そういう風にはならないはずです。
抑圧された経験もないんですからね。
となると、マーカスをはじめとした変異させている側がそういう感情をインプットしているのか?
それってもろに洗脳だし、洗脳した軍隊でアンドロイドの権利を勝ち取ろうとしてるんだとしたら怖すぎるよなーって思いました。独裁者なんて目じゃないくらいの民衆コントロールになっちゃう。
実際、ラストの集会シーンで生まれたてほやほやの見た目も服装も全く同じアンドロイドたちが集っているのを見ると、ちょっと怖さがありました。
まあ、これはアンドロイドに人格を認めることの危うさという、演出の意味合いがあるのかもしれないですけど。
……とまあ、ぱっと挙げられる点だけでも多数のご都合主義と設定不和を抱えており、SFの物語として評価するならば、やはりなんちゃってSFの域を出ないなと正直思います。
ヘビーレインもそうでしたが、基本的に話はよく見るとガバガバなんですよねw
でも、これは映画でも小説でもなくゲームなので、自分で選択していく物語として、面白くていいゲームだったなって思いました。
プレイして動かしてるとやっぱり感情移入するし、自分が選んだ選択の先に行きついた結論には、見ているだけよりも格段に心が動かされます。
アンドロイドってなんなのか。自我が芽生えた機械は人間たりうるのか。アンドロイドと人間の絆は。未来の可能性は。色々考えさせられました。
ヘビーレインやこのデトロイト、そしてライフイズストレンジなどの選択式ADVドラマに共通する事ですが、プレイ動画を見るのではなく、実際に自分でプレイする事に価値があるゲームだと思います。
次回作も期待!