お昼寝タイムズ@ゲーム

ゲーム感想。RPG、SRPG、ADV、アクション、乙女ゲー、ボブゲが好きです。辛口め注意。

WILL:素晴らしき世界 総評/感想

WILL:素晴らしき世界|オンラインコード版

WILL:素晴らしき世界|オンラインコード版

  • 発売日: 2018/11/15
  • メディア: Software Download
 

 「神様、どうかお助けください……」世界中から届く、神様への願い。主人公の少女は、手紙のテキストを入れ替えることで運命を変えることができる神様。
こんな都市伝説、聞いたことはないだろうか?
願いを手紙に書いて、真夜中、静かに祈る。「神様、どうかお助けください……」
もし神様にその手紙が届いたなら、あなたの運命は、きっと変わるだろう。
しかし、これはただの都市伝説。ほんの少しだけ流行った、ただの都市伝説。
見知らぬ部屋で目覚めた一人の少女。彼女の前に「イシ」という名のしゃべる犬(?)が現れ、そしてこう言う。
「僕らは神様なんだワン。僕らのお役目は、助けを求める人間の運命を変えることだワン。」
彼女は、人間からの手紙の一部を、いろいろ組み替えることで運命そのものを変えることができる神様なのだ。
世界中の人々は、その伝説を信じている。彼らは神に救いを求めたくなる時、手紙に書いたり祈ったりする。
突如恋に落ちたものの、どうすればわからないオタクの青年も。すべての希望を失い、今まさに自殺しようとしている貧しき画家も。
巨大な事件を前に希望と正義に燃える若き新人刑事も。夢のために故郷を離れた若き女性も。街中のゴミを漁って生きる悲しき迷い猫! も。
神となり、人々を幸福にしていくにつれ、彼女自身、そしてイシの物語も、展開していく。

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<システム・グラフィック>

主人公は神様(のようなもの)で、神様宛に送られてくる様々な人々からの「願いの手紙」の「順番を入れ替える」ことでその人達の運命を変え、導いていく……というシステムのADV。
手紙の文面を入れ替えて運命を変えるという独特のシステムで、最初のころはどうすればどのように運命が変わるのかを推理しながら変えていくのが面白かった!
一見するとかかわりのなさそうな人たちの運命が交差するザッピングシステムも◎。こういう話大好きです!
ただ、そのいいシステムを生かし切れていなかったのがマイナス。
運命変更後のENDが複数あり、基本的にはSランク(最高ランク)を目指すんですけど、最終的にはベストではないENDも埋めていく必要があるため、一部の謎解きパートを除き結局はほとんど入れ替え総当たりしていかなければならなくなってしまうのが勿体なかった。
入れ替え総当たり作業は割と虚無だったので……w

 

あと各ENDはかなり同じ文章があるにも関わらずスキップ等のシステムがなく、全ての文章を見る必要があるうえ、文章の一括表示が出来ないのもかなり面倒でした。
文章の表示速度そのものはそんなに遅くはないんですが、なにせ同じ文章が多いので……。ボタンを押しても文章送りが出来ないですしね。
また、後述の主人公+イシパートのシナリオは、手紙の進行度で強制的に進められてしまう上、バックログもないので一切読み返すことができません
前に死印の感想でも書いた気がしますけど、ADVは文章を読むゲームなので、最低限そこに関しては融通利くようにしておいてほしかったです。

 

グラフィックはとってもよかったです!
キャラクターグラフィックも可愛いし、スチルも豊富。
手紙はキャラの国籍ごとに封筒が異なっているのもよかったし、キャラごとにテーマカラーが設定されていて、文章変更場面などでそのテーマカラーが使われるのも可愛かった!

 

<シナリオ・キャラクター>

物語は神様(のようなもの)である主人公の少女+ナビゲーターである犬のイシのパートと、手紙を入れ替えて人々の運命を変えるパートに分かれています。
タイトルやゲーム全体には柔らかい雰囲気が漂っていますが、手紙パートのシナリオはかなり血生臭いところが少なからずありますし、直接的な描写がないとはいえ性的な話に触れる部分もあり、割と悲劇的な話が多かったので、そういった耐性がない人はやや注意が必要かもです。
運命入れ替えゲーなのでやや超展開もありますが、基本的に話は面白いです! 各キャラどういう運命を辿るのかわからず、先が気になる。たまに矛盾もありますが、まあややこしい話なのでそこはご愛敬w
最終的にみんながみんな手に手を取り合うハッピーエンドになるというわけではないのですが、各キャラシナリオの落としどころもよかった。
また殺伐としたシナリオの間に挟まれる主人公+イシのパートは基本的にコミカルで、そのバランスも良かったと思います。

 

以下、シナリオのマイナスポイントについて。展開的に弱ネタバレがあるため伏せています。ほんとうに弱ですけど、念のためw OKの方は反転してご覧ください↓
主人公達のパートの話、衝撃的な展開もありますし面白くないわけじゃないんですが、①見るタイミングを選べず唐突に展開され②にもかかわらず一切見返すことができないうえ、③手紙パートと比べるとシナリオが短くて薄い ため、最後に衝撃的な展開をぶち込まれても特に感情移入が出来ず、「あ、そう……」とドライに受け止めざるを得なかったのが残念でした。あくまでわたしの場合は、ですが……。
↑弱ネタバレここまで

 

キャラクターは一癖も二癖もある人物が多いですが、色々いてよかった!
手紙も各キャラによって口調が違って(例えば、ギーク的なオタクキャラは顔文字が多かったり)、それも含めてすごく楽しめました。
元が中国語のため中国名の読みづらいキャラ名が多かったり、翻訳が多少うまくいっていないのかなと思える部分も若干ありましたが、上述の口調の違い等、概ね上手に翻訳されていたと思います。
お気に入りキャラはアリシアPi

 

なんというか……発想はすっごくいいし、シナリオも概ね面白いんだけど、システムも不親切だし、「惜しい、もう一歩!」って感じのゲームでした。
まあお値段が1500円とお安いので、値段分以上の価値は十分あるかな。
手放しには勧めがたいですが、(特にザッピング形式の)ADVが好きで、興味のある人は手を出しても損はしないんじゃないかな? と思います!