那由多の軌跡
那由多の軌跡(通常版) (2012/07/26) Sony PSP 商品詳細を見る |
この世界には「果て」がある──。
僕たちは昔からそう教わってきた。
無限に広がって見えるこの海にも、
明確な終わりがあって、
その先に進むことはできない。
“世界は平面だから”
学者達の多くはそう断じ、
人々もそれを信じている。
……でも、本当にそうなんだろうか。
いいや、きっと違う筈だ。
世の中にはまだ多くの未知が残されている。
「星の欠片」が映し出す
“あの光景”は一体なんだろう?
だから、僕は強く信じているんだ。
そう。世界はもっと、もっと広いはずだって──。
by ナユタ・ハーシェル
正直言うと、ちょっとアテが外れた感は否めない軌跡シリーズ新作ですた。
<システム>
ストーリーARPGというジャンルらしい。
ステージをクリアしていくタイプで、RPGというよりはアクションゲームという雰囲気のほうが濃厚かな?
古いゲームですが、近いものとしては「デュープリズム」「風のクロノア」って感じ。
軌跡とは銘打っているものの、ストーリー的もシステム的にも「空」「零」「碧」と続くゼムリア大陸シリーズとは完全に別物です。
なのでこれと比べちゃいかんだろうという声もあるだろうとは思いますが、軌跡シリーズと銘打たれているので、わたしはばんばん比べていこうと思います。
うーんなんだろう。
目立った新しさがないのはまぁ、ゼムリア大陸シリーズのほうもそうだったのですが。
あれらはすごく丁寧に作りこまれてるのが一見してわかったものなのですが、この那由多はちょっと粗が目立っちゃった気がしました。
まず、ゲームの引きがあんまりよくなかった。うおおすごいゲーム開始してもうたで! っていうわくわくがない。
ひとつに、グラフィックの荒さ。
背景やら舞台装置やらの作りこみはさすがファルコムと言おうか、すごく綺麗なのですが、肝心の人間のポリゴンが完全に5年前くらいのクオリティ。
これならゼムリア大陸シリーズの2or3頭身ポリゴンのほうが小さい分細かく作りこんであった気がするなぁ。
店員のお姉ちゃんのバストアップは謎にハイクオリティなのですが、キャラクターの方はノイ以外正直ひどいもんだと思います。いや、ナユタのフィールドでの動きなんかは綺麗なんだけどね。造形としてね。
しかも、台詞のところでイラストがない。これって必ずしも必要だとは思わないのですが、ポリゴンのレベルが低いもんだから、そのギザギザポリゴンの人形劇だけじゃ正直いまいちなところがあるんだよな。
武器&防具が強くなればなるほどダサくなるのもどうにかしてほしいと思ったw
次に、台詞送りのかったるさに始まる、細かい不親切。
ナユタの足が遅いのもすげーイライラしましたw
歩き回れる街は残され島しかないのですごく狭いのに、狭い島の中ですら移動にいらいらしちゃったよおお。
なんかもう、これだけでちょっとテンション下がっちったんだよなぁ。
ただ、アクションゲーム部分そのものはかなり面白いし、今回の目玉でもある大陸の四季変化が出来るようになってきたあたりからはぐんぐん楽しくなってきます!
ステージごとにミッションがあるので、ついついそれをクリアするために何回も挑んじゃう。
あと、ボス戦は相当面白いです!
ボスはとにかく凝ってる!!!
最終的に、最初はあんまりだけど噛めば噛むほど面白くなっていくスルメゲーという印象に落ち着きました。
<ストーリー・キャラクター>
薄い。完
↑と、これで終わらせたくなるくらい薄いw
世界を救う系の王道で、アクションゲーならこんくらいの密度でもまぁいいかなという体なのですが、曲がりなりにもストーリーRPGを名乗るには、今の時代じゃこれは通用しねえよと思いました。
とにもかくにもノイ以外のキャラクターとの関わりが薄すぎる。
ネタバレは伏せますが
ノイ……ひたすら可愛い。唯一感情移入できる。名実共にまさに相棒兼ヒロイン。つまり愛している。
クレハ……出会ってからろくに絡まぬまま物語が佳境に入る。島で絆を深めるくだりのシーンがちょろっとあるが、ナユタはその場におらず、ステージクリアに勤しんでいる。そんな薄い関係性しか築いていないのに敵に回られても「あなたを試したの」とか言われても(´・ω・`)ってなっちゃう。こんなに影の薄いキーキャラクターがいただろうか。
シグナ……相棒ポジっぽい紹介をされているくせに、一緒に旅せず、序盤にいきなり消えうせる。物語開始前にナユタと深い絆を築いていたらしいがそんなものプレイヤーはあずかり知らない。プレイヤー的には薄い関係性しか築いていないまま、「相棒」と連呼されたり敵に回られたり妹さんと同じく試したりされても(´・ω・`)ってなっちゃう。あと正体がモロバレ。
ゼクスト……割とテンプレ悪役。いろいろな意味で。正直このゲームの中ではノイの次に好感が持てる。
ライラ……空気。完全に必要ない。最初から最後まで一切存在意義がわからない徹底した空気っぷり。モブであるはずの村人・ドラッドさんの方が活躍してる。店員系キャラ以下の絡みっぷり。
アーサ……可愛い。家族らしい絡みをしてくれる。安定。
店員の姉ちゃんたち……まあただの店員。雑貨屋と武器屋はポリゴンが登場キャラクターで一番贅沢。というか凝ってる。研究員は双子という設定があるがこれも全く必要ない設定だった。
博士(&医者)……初見でこいつらを怪しんだのはわたしだけではないはず。博士が帝国出身という情報はなんだったのか。
これらの情報からメインキャラクターを考えると……
主人公・ナユタ
相棒・ノイ
敵・ゼクスト
これ以外のポジションは全部「その他」で括れるという結論に落ち着く。
ただノイとの関係はすごくよかったです!!!
これは声を大にして言える!
ノイが消えるところはかなりぐっときました。
なんだろうなぁ、ストーリーそのものは決して悪いわけじゃないのに、とにかくうっすいんだよなぁ。
思うに、おつかいクエストでもなんでもいいから、日常をもっとちゃんと描いて、キャラクターに感情移入させるべきだったよ。
特に、クレハとシグナね。
多少あざとすぎるところも冗長すぎるところもありましたが、ゼムリア大陸シリーズは日常がしっかり描かれていて、キャラクターみんなに愛着があったんだよな。
那由多にはそういうのが全くなかった。
面白くなかったわけじゃないんですよ。アクションゲーとしては面白かったし、普通に発売されてたら悪くないゲームだったと思う。
でも、いちファンとして、軌跡と名がつくからにはもっと頑張って欲しかった。
厳しい評価になっちゃったのは、ゼムリア大陸シリーズがほんと好きだからかも。あのゲームにはスタッフの愛があったのに、これからはあんまり感じなかった。
再三言いますが、アクションゲームとしては結構面白いんですよ?
ただ、軌跡シリーズということで期待してたのもあり、なんとなくやっつけ仕事な雰囲気を受けちゃって、ちょっとしょんぼりしちゃったんです。