お昼寝タイムズ@ゲーム

ゲーム感想。RPG、SRPG、ADV、アクション、乙女ゲー、ボブゲが好きです。辛口め注意。

Side Kicks!(サイドキックス!) 総評

 

Side Kicks!  - PS Vita

Side Kicks! - PS Vita

 

アメリカ、カリフォルニア州の街「サクラダ」。
西海岸の陽気な気候に恵まれた穏やかな街だが、近年は中毒性の高いドラッグ、通称「リップコード」の蔓延に頭を悩ませていた。
そんな犯罪を取り締まるため、サクラダ警察では新しい組織が結成された。
自由な発想と異分野のスキルを持ち合わせたメンバーを集めた特別捜査課、その名は「サイドキックス」。

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<システム・グラフィック>
システム……☆☆☆☆
目パチ口パクあり、デフォ名呼びあり
スキップそのものはそう遅くはないのですが、時折突っかかる感じがするのでそう速くもないw
選択肢スキップは未読もブっとばす仕様なので大変使いづらい。わたしはこれ途中まで全く気が付かなくて、共通ルート中のスチル付きイベントも普通に飛ばしちゃってました……w そしてやり直すのも面倒でそのままにしてしまったw
正解選択肢はわかるようになっていますし、基本的にそのキャラを選んでいけばいいので分岐は簡単
分岐後好感度の高低は影響しないようで、BADへの分岐も非常にわかりやすいです(そもそもBADのないキャラもいる)。
 
用語集や事件の経過を記したNOTESや、作中にも出てくるシスイというキャラクターのラジオがシナリオの進行によって随時解禁されていったり、キャラクターからSNSメッセージが届いたりして、それを見ていくと没入感が増す……のですが、いかんせんこれが見づらいw
新規追加された項目がどれかわからないし、ひとつずつ一覧に戻らないと見ることができないのも不便。シナリオを味わうには適宜見たほうがいいのに適宜見るには不便という、微妙なものになっていたのが惜しいなと思います。
 
グラフィック……☆☆☆☆☆
キャラデザ・原画はすめらぎ琥珀さん。普段は男性向けアダルトゲームを手掛けることが多い方らしいのですが、性的な感じはそんなにせず、純粋に滅茶苦茶よかったです!
ただ女性向けと考えるとちょっとクドめの絵柄ってことになるのかな? 体がしっかりしてるし、わたしはすんごい好きなんですけど、好みが分かれるかも。
シナリオボリュームのわりにスチルは多め、差分もかなりたくさんあって満足度高かったです。
立ち絵も豊富で、各キャラ後ろ姿の立ち絵もあるのが◎。後ろ姿、大好き……!
 
ここのゲームは初めてやったのですが、演出が滅茶苦茶凝っていてびっくりしました
まず背景がすごく動く。ネオンがぴかぴか光るのみならずディスプレイにCMが表示されていたり、天井のシーリングが回ったり。
一番度肝を抜かれたのは、序盤にムービーでトラックが突っ込んできて、それがそのまま背景になるって演出ですね。文字で言うとわかりづらいかもしれませんが……これマジで感動しました。まあ、これがあるのここの1回だけなんですけどねw
章仕立てなのですが、章ごとに「前回までのサイドキックスは~」って感じで、振り返りがあるのがアニメやドラマっぽくておしゃれ。
それ以外にも、場面の切り替わりで軽いアニメーションが入ったりもします。
全体的にグラフィックは信じられないほどハイレベルでした!
 
 
音楽……☆☆☆☆☆
乙女ゲ界隈だとあんまりぴんと来ない名前かもしれませんが、メインコンポーザーが上倉紀行さん、ゲストコンポーザーが伊藤賢治ということでめっちゃ豪華です。
スタイリッシュサウンドで最高。
使われている曲そのものもいいのに、それを無造作に使うわけじゃなくて、BGMのないシーンがあったり、人が多いところではざわめきだったり、「その場に適した音」を選んでいるのがすごく好印象でした!
 
 
<ストーリー・キャラクター>
ストーリー……☆☆☆
舞台はカリフォルニア州にあるサクラダという街。
予知夢を見ることができる主人公は、とあるきっかけで特殊能力を持つ人たちが集う「サイドキックス」というサクラダ警察の特殊捜査課にスカウトされ……といったお話。
共通も個別も短めでボリュームはあまりないです。強いて言うなら共通のほうが長いかな……。個別は本当に短いw
共通は章ごとに各キャラ紹介のような事件がひとつずつ起こり、個別は各キャラそれぞれ独自の事件に挑むといった感じ。
ひとつひとつの事件やシナリオの骨子そのものはかなりいいのですが、いかんせん短い……。
全てがあっという間で、せっかくいいシナリオの衝撃や余韻に浸る暇があまりない。
 
恋愛過程はほぼ完全に犠牲にされていると思っていいです。一部キャラに関してはいつ好きになったかわからないってレベルじゃねえ! ってなるくらいw
ストレートに疑問なんですが、このゲームなんでこんなに短いんだ……?
シナリオの骨組みは本当に悪くないんですよ。真相ルートで用意されている真実とかもすっごくいい。何故こんなに駆け足なの!?
なんかの事情があったんでしょうか……。システムもグラもキャラもいいのに、本当にもったいないなと思いました。
 
あと地味に気になったのが、ここほんとにアメリカなの? って設定や会話の数々。まずアメリカが舞台なのに登場人物が全員和名なのはなんでなんだ。ヒバリだのツバキだのタテワキだのってなんだよ。全員日系なのか? なんか意味があるのかなと思ってたら、最後までなくてズコーってなってしまった。マイケルとかジョンとかそういう名前にしたら馴染みにくいからかなとも思ったけど、じゃあそもそもなんで舞台をアメリカにしたんだよという。背景はすっごいアメリカンだったけど、話は別にアメリカじゃないと的な話じゃなかったろ……w
あと舞台はアメリカだからみんな英語をしゃべっているはずなのに「バウンティハンター?」「賞金稼ぎのことだよ」とか「ノンファットの意味わかんない」みたいな会話があったりするのが若干興ざめ。いやバウンティハンターもノンファットもなんの比喩もなくそのまんまの英語だぞ!? 英語喋っててこれがわかんないわけねーだろ! って突っ込んでしまいましたw
ライターさん完全に日本語感覚で書いてるよね。次回作は頑張ってくれよな……w
 
キャラクター……☆☆☆
主人公のイノリは予知夢を見る能力がある以外は普通の女の子。
性格は本当に可もなく不可もない、ストレートにいい子。個性はほぼないと言っていいくらいないので、シナリオを追っていてストレスになることはなかったです。
どうやら就活をしていたらしいですが、学校を卒業したてなのか田舎から出てきて就活してたのか等の背景や予知夢の秘密も一切明かされないので、ある意味全キャラ中一番謎が深い存在ですw
 
キャラはあんまりアクないですね。
・チカ…脳筋バカ(戦闘)
・ヒバリ…チャラめ(精神分析)
・シシバ…ギーク(情報分析)
・リコ…THEショタ(カメラアイ)
・ノラ…飄々男(情報屋)
・隠し…
好きキャラは チカ>隠し>ノラ>ヒバリ>シシバ>越えられない壁>リコ ですね。リコ本当にごめんな……。可愛いんだけどね……w
ルートはうーん……事件の満足度と恋愛の満足度が一致しないので難しい。総合して考えると チカ>真相(隠し)>他は同列 って感じかな……w
 
攻略順は チカorヒバリorシシバorリコ→ノラ→真相(隠し)4人攻略後にノラ解禁最後に真相が固定です。最初の4人はそれぞれ違う事件を追うので誰からでもOK。
 
総合してマジで惜しい作品でした。頑張れば物凄い名作になりえたと思うんだけど。本っ当に尺が短すぎて、素材は本当にいいのにどうしてこうなってしまったんだって感じ。短くて短いなりに纏まってるならいいんだけど、ちょっとね……。
ただグラフィックをはじめとしてシステムは本当に頑張ってますし、短いのは逆に言うとやりやすいし、別にシナリオが悪いというわけではないので、乙女ゲーに慣れてない人には勧めやすいかも。
新作のバスタフェも楽しみにしてるので、頑張ってほしいなと思いますw