お昼寝タイムズ@ゲーム

ゲーム感想。RPG、SRPG、ADV、アクション、乙女ゲー、ボブゲが好きです。辛口め注意。

BUSTAFELLOWS (バスタフェロウズ) 総評

あけましておめでとうございます!
今年もぼちぼち感想を上げていきたいと思ってますので、よろしくお願いします。
新年初記事はバスタフェの総評になりました。
ネタバレなしなので、どなたでもどうぞ!

BUSTAFELLOWS(バスタフェロウズ) - Switch

BUSTAFELLOWS(バスタフェロウズ) - Switch

 

アメリカ東部の街、ニューシーグ。
悪徳弁護士と名高い【リンボ・フィッツジェラルド】は、急な弁護の依頼を受け警察署へと向かった。
そこで出会った男は「この面会がなければリンボは死んでしまう運命だった」と言う。
奇妙な話に困惑するリンボ。
そして男は、まるで女のような不自然な口調で言った。
「『今日』は私にとっては再放送なの。私はあなたが死ぬのをこの目で見た」

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<システム・グラフィック>

システム……☆☆☆☆

目パチ口パクあり、デフォ名呼びあり
とりあえずスキップがまじで遅いです。どんくらい遅いかって、ほぼ全台詞の冒頭ボイスが漏れてしまうくらい遅い。
選択肢スキップ未読は飛ばさない仕様になりましたが、章をまたぐ場合選択肢スキップできないのが相変わらずなので、使えない場面も多い。→なんと2020/1/28のアップデートでチャプター終わりまで選択肢がなくても選択肢スキップできるようになりました!

正解選択肢はキャラクターの色が出るという形でわかるようになっていますし、基本的にそのキャラを選んでいけばいいので分岐は簡単
全キャラBADエンドがあり、好感度の高低が影響するキャラも中にはいますが、基本的にEND回収には手間取らないかと思います。

作中では登場人物が携帯を使って電話やメールをしますが、完全にシナリオの中に組み込まれているので、システムというよりかはグラフィックの範疇かな。
本作独自のシステムが、用語集や事件の経過を記したARCHIVEと、実績であるMEMORABILIA
MEMORABILIAはゲーム内で用意されているPS媒体だとおなじみのトロフィーみたいな要素で、まあ、トロフィーの代わりだと思いますw
こういうのを集めるのがお好きな人も多いかと思うので、あるのはいいですね!
スチルのシーン再生ありですが、登録されているシーンはそんなに長くはない。チャプターごとに再生は出来ますが、そこら辺ももう一踏ん張りしてほしかったなって印象です。


グラフィック……☆☆☆☆☆

キャラデザ・原画は前作と同様すめらぎ琥珀さん。前作もよかったですが、本作はさらによかったです!
女の子は可愛く、男の子はかっこいい。
スチルの量自体は一般的かなと思いますが、差分がめっちゃ多いです。
立ち絵も相変わらず豊富。表情豊かで各キャラ後ろ姿があるのはもちろん、ポーズも、衣装も、驚くほど変化する。1シーンしか出てこない、そのシーン専用のオプション付き立ち絵まであるのにはたまげました。力の入れ方が尋常じゃない……。

演出の凝りはますます強化されています。演出の強さという面で言うと、わたしの知る限りでは乙女ゲーで現状バスタフェに勝るものはないと思います。凄すぎて革命だと思いました。
前作から凄かった背景の動き。ネオンがぴかぴか光るのみならずディスプレイにCMが表示されていたり、暖炉の炎が爆ぜたり。
また凝っているだけじゃなくて、使い方も上手いんですよね。
前述の後ろ姿立ち絵とあわせて、フラッシュを炊いて街灯インタビュー感を出すというのは、発想の勝利だなあって思いました。
あとスチルが動く。マジで。

これホントに度肝を抜かれました……。
章ごとの次回予告動画や、切り替わりシーンの動画の使い方も自然で鬱陶しさがない。
ニュース番組に入るシーンではマジのニュース番組っぽい動画も流れるし……。
グラフィック面、いいところ多すぎて褒めるところが尽きない!
とにかくほんっとうによかったです!!! 最高!!!

 

音楽……☆☆☆☆☆

相変わらずのスタイリッシュサウンドで最高。
使われている曲そのものもいいし、「その場に適した音」を選んでいるのも変わらずで、本作はさらに進化してそこに「ピアノを弾いている」シーンでピアノ演奏された曲がシーンぴったりに出てきたり、さらにそこに登場人物の鼻歌が乗っかったりと、使い方のうまさがさらにレベルアップしていて感動ものです。

グラフィック面もそうなんですけど、ここの会社、技術力が高いだけじゃなくて、技術力を使わないような点でもものすごく工夫を凝らしてくれるんですよね。そういうところが本当に大好きです!

 


<ストーリー・キャラクター>

ストーリー……☆☆☆☆☆

舞台はアメリカ東部の街、ニューシーグ。
『時間を遡る力』を持つ主人公・テウタが悪徳弁護士のリンボをはじめとした自称『フィクサー』を名乗る男達と協力し、それぞれの正義を貫くために活動するようになる……というお話。
共通も個別も長さはそこそこかな? 
最初のチャプター4までが共通。個別はそれぞれの抱える困難に挑み結ばれるまでを描いた前編sideAと、結ばれた後の後編sideBに分かれています。
事件をsideA、恋愛をsideBと分けたことで非常にメリハリがきいたシナリオ立てとなっています。
シリアスなシーン中に突如いちゃつき出す……といった違和感もなく、個別前半はほぼ純粋に各キャラの抱える困難に立ち向かえる。そして困難を共に乗り越えた後にご褒美的にゆっくりいちゃつく! この構成が本当によかった。どっちにも集中できました!
そしてこのゲーム、普通に女主人公の事件モノとして見ても話が面白い
乙女ゲって、評価の高い作品でも割と突っ込みどころが多い作品も多いんですよね。でも、この作品にはいい意味で乙女ゲ感(話とか設定のツメの甘さ)がない
乙女ゲームであるとかそういうのを超えて、本当に普通に話が面白いノベルゲとしても遊んで貰いたいくらいです。
前作であるサイドキックス……このゲームも実は結構世間の評判はよくて。でもこれ読んでもらえれば分かると思うんですが、わたしの評価はぶっちゃけ辛めだったんですよね。

kokochia.hatenadiary.jp

でも今作は違う。滅茶苦茶進歩してます。
サイドキックスでは事件を描くために正直犠牲にされていたとしか思えない恋愛過程も本作はものすごく自然で丁寧でした。恋愛過程というよりかは、そもそもキャラの心理描写の丁寧さが凄い
というか、上記で書いた不満点はほぼ全て解消されていると思います。ライターさんは同じ方のようなので、純粋にすごい……。
シナリオの長さとして見るとそんなに長いわけじゃないんですが、不足感も全くなかったです。

 

あと、全キャラ攻略後に解禁される真相ルートの破壊力が凄い
これ絶対にネタバレを見ないでやって欲しい。何がどう凄いのか実際に見て確かめて欲しい。本当に凄いです。
このゲームは甘いだけのゲームじゃありません。
乙女ゲームとして考えると、ひょっとするとこの真相ルートはきつい人もいるかも知れない。でも、乙女ゲームであるとかそういうものを超えて、一つの物語として本当に完成度が高いので、是非たくさんの人に触れてみて欲しいなと思っています。

 

キャラクター……☆☆☆☆

主人公のテウタ『時間を遡る力』があるフリーライターの女の子。
「頼まれなくても助けるのが友達、断られても助けるのが親友」といった独特の哲学を持っている、個性強めの主人公です。
オフにできるとはいえボイスつきで(全キャラの声が重なっている部分など、オフにしても一部声が聞こえてしまうシーンもあるようです)、スチルだけではなく立ち絵でもバンバン顔が出てくるので、自己投影派には不向きかなあと思います。
自分の意見をしっかり持っているところ、ライターをしているせいか意見の言語化が驚くほど上手いところ、嫌みなくフラットに振る舞うところなど、いいところが目白押しで、本当に大好きな主人公になりました。今までやってきた乙女ゲで一番かも、くらい

 

キャラはみんなよかったですが、特にヘルベチカのキャラ造形が際立って新しかったと思います。
・リンボ…正統派ヒーロー
・シュウ…クールと見せかけて
・ヘルベチカ…美形タラシと見せかけて
・モズ…淡々としてる
スケアクロウ…かわいい
好きキャラは僅差で シュウ>他 ですね。マジで選べないくらい箱推し。バスタフェファミリーのみんなが大好きです!
ルートは 真相>ヘルベチカ=モズ>他 かな。全ルートよかったんですが、真相はほんと……言葉にならなくて。よかった他の全ルートを吹き飛ばすくらいのパワーがありました。本当に凄かった。素直に脱帽です。

 

総合して……素晴らしい作品でした。一部システム(スキップ関連等)はまだ改善の余地がありますが、それ以外の面においては、頑張れば物凄い名作になりえたと思った前作の弱点を悉く克服し、無敵のゲームに仕上がったと思います。
キャラもシナリオも素晴らしかったですが、特にグラフィック面に関するシステムにおいては他の追随を許さない出来で、乙女ゲーム界に革命を起こしたと言っても過言ではないくらいだと思います。
乙女ゲ好きなら絶対にやって損はないと思いますし、乙女ゲに触れたことのない人でも、是非ともプレイしてみて欲しい。
このゲームが出てくれて、このゲームをプレイできて本当によかった。感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしいゲームをありがとう!!!