お昼寝タイムズ@ゲーム

ゲーム感想。RPG、SRPG、ADV、アクション、乙女ゲー、ボブゲが好きです。辛口め注意。

even if TEMPEST 宵闇にかく語りき魔女(テンペスト魔女)ティレル 感想

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現国王の実妹である継母を迎えた8年前から監禁・虐待されて育った主人公・アナスタシア。一条の光が見えたかと思った瞬間信じていた人間にも裏切られ、絶望のまま死んだ時、アナスタシアは魔女のルーンから「死に戻り」の能力を与えられ、人生をやり直すことになる……というお話です。

100年ぶりに乙女ゲーをやり、滾り、感想が書きたくなりました。
しかしテンペスト魔女、なんとパッケージのないDL専用ソフトなのであった(しかもフルプライス)……。従って様子見している人が非常に多い。
でも言いたい。
テンペスト魔女、おもしれーよ!!! 買おうぜ、みんな!!!
販促記事も書こうと思ったんですが、ひとまず忘れないうちに感想書きたい~と思って、とりあえず終わったティレルルートの感想をば。

以下、ネタバレあり感想です!

 

 

とにかく序盤はめちゃくちゃキツくてビビりました。
なにがエグいってアナスタシアの境遇がエグい
8年間虐待・監禁されて育ってて、割とガチめにクズしか出てこない。
助けてくれたルーシェンは突然泣き出すヘタレだし、コンラッドは見るからにクズだしもうどうしようもねえ。クズのバーゲンセールや!
ツイッターで感想をチラチラ見てたらドアマットヒロインってワードが出てきたんでなんだろうって思って調べてみたら、ロマンス小説発祥の用語でいろんな人に虐げられる不幸系ヒロインって意味らしいですね。新しい知見を得た。
まあまさにそんな感じですねw
ただ直接虐げてきてた人間にはさほど恨みを抱いてないのがちょっと変わってますね。
アナスタシアちゃん、鬼のようにメンタルが強い
継母はトラウマの源だから別格として、8年間虐げ続けてきてた父親とか義妹とか使用人たちにはなんも思ってなさそうなのがすごい。

死に戻りの原動力も自分への怒りという、魔女云々より先に8年も虐待されて育ってその健全すぎる精神、一体どうなってんの? と思うレベル。
なのでいわゆるざまぁ展開みたいなのはなくて、ざまぁしないからといってすっきりしないからといってそういうわけでもなく、プレイヤーとして見ててもネチネチいじめてきてた妹が久しぶりに出てきても単純に「ああ、そういやそういうやついたね」くらいの感情になります。アナスタシアちゃんつよい。
めちゃくちゃ有能だしな。8年虐待されてて全く教育も受けずに育ってるのに財務を任されて秒速で帳簿の改竄に気付くのあまりにも天才過ぎんか? いや普通にご都合主義過ぎるけど
アナスタシアちゃん性格も真っ直ぐすぎるくらい真っ直ぐで、ツンケンしてる周囲の人間もぼろぼろ落としていくのが面白い。一番笑ったのが王宮騎士たちの「きゅん」でしたww
「きゅん」じゃないが!?!?!?wwww


しかしティレルルートは爆萌えしました……。
クライオスにかけられた嫌疑を晴らすため、異端審問官であるティレルの下について魔女裁判の調査に乗り出すというお話。
一見口も態度も悪くて冷たく見えるけど実は情が深くて優しい男、好きが詰まってる……。
アナスタシアとの相性もめっちゃいいんですよね……。ひねくれ言動に真っ直ぐ対応するアナスタシアにティレルがたじたじになる展開美味しすぎて五体投地してしまう。照れ顔のティレル可愛すぎるゥ~!!!
一番萌えたのが、アナスタシアが刺青の入った女を探して欲しいってティレルに頼むところなんですけど。ティレルはそれだけで探せるかって一度断ったものの、しょんぼりするアナスタシアに「そんなに悪いことしたか?」と躊躇い、アナスタシアが「私の中でリスター審問官は、あらゆる不可能を可能にしてしまう天才になってしまったのです」って言ったのについに降参するところ……マジで可愛すぎた……
はぁ~ティレルとアナスタシアの組み合わせ可愛い、尊い……。萌える……。
糖度らしい糖度はあんまりないんですが、なんだろうな。一挙手一投足に萌えるんだよな……。そして糖度はないけど医療行為という名のキス(スチルあり)はあります。ありがとうティレル……!

ただ作中で行われる魔女裁判は普通にエグいです。
ひとつ目の事件は犯人が子どもで、奴隷売買の温床になっていた孤児院(犯人はコンラッド)で唯一優しくしてくれていたルーシェンに憧れて、ルーシェンを食べたらルーシェンみたいになれると思って殺した……さらに殺して取った肉は既にシチューにしててそれを孤児院の他の子どもたちは既に食べてるってのがエグすぎてビビった。あらすじ書きだしただけでもエグいよね。
裁判シーンも思いのほか面白かったです。基本的に犯人=魔女の道化はなんでもできるので、普通の推理もののようにアリバイやらトリックやらは意味をなさないのですが、そこは割り切ってそれゆえの結論なのが面白かった。
ふたつめの裁判は毛色が変わり、犯人=マヤが自首してきた後の話なのも飽きずにやれてよかった!
マヤがアナスタシアのために大量殺人を犯した後、それを受け入れるアナスタシア……という感動的なシーンがあり。また重い展開になりそうやこれ……て思ったところでティレルと丁々発止のやり取りするのが好きでしたww
マヤのアナスタシア同担過激派なとこ、めっちゃ好きです……。
事情を聞いたマヤが「どうせ火刑になるし一人二人殺したやつが増えても変わらんよ! っしゃちょっとコンラッド殺してくるわ☆て明るく言うの、普通に度肝を抜かれました。あの感動的なシーンからこれもってくる!?www
シナリオライターのセンスがすげえ。

話の展開は読みやすくて伏線回収は常に秒速なのは引っ張らなくていいような、あっさりしすぎなような……ちょっと難しいところですねww
妹やコンラッドがクソキャラなのも、ティレル=猟犬=ニンジャ=イシス族ってのも秒速で明らかになる。

ただ最後は全然読めなかったです。
ティレルが死んでそのまま死に戻り、記憶を消されてそのままクライオスルートに進むとは……。
いや、そうきたか~……!!!
これ二人終わったら、ふたり分の記憶を消されて、三人目のルートに行くのかな? 最終的にエンディングどうなるんだ……???
真相キャラのひとり勝ちになったりするの……いやまさか……!?
気になるのでそっこ~次に行きます! クライオスルートへ……!!!


ED後の話は、うーんなんというか、萌えるには萌えたんだけど……という感じでした。
女神扱いしてくるティレルに複雑な感情を抱くアナスタシアにも、そんなティレルの話を聞いて爆笑するクライオスにも、「俺のこと好きなんだろ」って言ってくるティレルにも……萌えるのは萌えましたよ。ええ、そりゃもう萌えましたとも!
でも結局のところティレルは他の3人と違ってそもそもアナスタシアとの関わりがないので、最後の死に戻りでちょろっと関わっただけなんですよね。
しかも自分が仕えていた人が女神の末裔じゃなかったという衝撃の事実、ひいてはアナスタシアこそが女神の生まれ変わりだったというさらなる衝撃の事実に晒されて、アナスタシアのこと好きになる暇なんてあったか? ってのが正直なところで……。
アナスタシアの気持ちとしては全く違和感ないんだけど、同じ記憶なし男×記憶あり女としてクライオスと比べると、ティレルからの好きにちょっと浸りきれなかったのが残念かなあ。
まあクライオスもそうだけど、このふたりはちょっとシナリオ構成上、恋愛的な面ではちょっと割食ってるよなあと思いますww